[俳句]鈴木真砂女

newmoonakiko2007-12-09

今から7年前、キオスクの本棚に見つけた鈴木真砂女の文庫本の句集。新幹線の中で読み終えて、京都で会った先輩の女性に「泣いた」といって差し出したら、そのままその句集は彼女のものになって戻ってこなかった。その後、もう1冊同じ句集を買った記憶がある。
羅(うすもの)や人悲します恋をして
この一句は、封印しようとした感情の箱をあけた。それから、俳句のまねごとを始めたのだ。
牡蠣割って脛に傷もつ女かな
大岡信は、百人百句の中で、「脛に傷もつ女」という表現は自己美化だといっている。そもそも「脛に傷もつ」のは「男」というのが決まり文句で、恋愛につまずいたことぐらいで脛に傷もつ女か、それは自己陶酔だろうと。先日、北海道産の牡蠣をご馳走になった。脛に傷となると、牡蠣の硬い殻を割ったのだろう。このような、生牡蠣を割った時には、ちょっと違った感覚がした。しかし、真砂女は、自分で料亭をしていただけあって、食べ物の季語の俳句がたくさんある。
鍋物に火のまはり来し時雨かな
鍋物を作る女には分かる句だ。

今日の新聞に真砂女さんが営んでいた銀座の「卯波」が、区画整理のために閉店となると出ている。