[暮らし]お金の世界

被災地の首長や行政職員は、職務とはいえ昼も夜もない毎日であることは想像できる。でも、彼らに残業代が支払われていることは、迂闊にも考えられなかった。なるほど、と妙に感心してしまった。宮城県名取市職員の3月の残業代は、なんと1億6000万円になるという。1ヶ月で同市の1年間の残業代の8割を占め、超過勤務は1人平均約100時間約30万円だった。市長は、震災で無収入になった市民も大勢いる。また、おおくのボランティアが無給で働いている。基本給がある市職員が割り増し手当てを受け取るのは市民感情として許されないとして、半額支給とした。ところが、県市町村課は、「明らかに労働基準法違反」として全額支給を市に求めたというのだ。そもそもそのお金は、市民が汗水たらした労働の結果であって、市職員が自ら生み出したお金ではない。一般企業は、この災害時に労働基準法など通用せず、不当解雇は当然のこととして行われている。公務員だけが組合の権限の下、労働基準法に守られるのならば、税金など払いたくないという気分になるのではないか?

ところで、先日東京で行われた消費科学センター消費科学連合主催のTPP勉強会での連合(日本労働組合総連合会)のTPPに関する考え方は興味深かった。基本的には、早急に包括的な経済連携を推進し、そのなかに労働条項、環境条項を組み入れるべきという。そして国際競争に耐えうる「強い農業」をめざして改革するべきということらしい。経団連と同じことを言っている労働組合に労働者を守れるかおおいに疑問だ。行政の組合だけは、労働法をタテに職員の権利を守る。

東京の母親の母乳から放射性物質が検出されたが、彼女を法律的に誰も守れないのかと思ったら、某弁護士がもし母親が東電を訴えたら、弁護人になると宣言していた。こちらは労働基準法などちゃちな法律ではなく、憲法第25条生存権の問題なのだ。いったいいくらの賠償額になるのか?

大企業と癒着した自民党、労組を票田とする民主党。金、金の世界。にっちもさっちもいかなくなることは目に見えている。