[食]日本人は平和貢献をしなくてはいけない理由

newmoonakiko2006-10-29

小田原駅前おしゃれ通りに移転した陶器のお店「雅泉」。ここの女主人とは、子供の保育園が同じだった縁で、時たまお邪魔している。山本美千子さんのお祝いを頼まれていた私。マイセンのコーヒーカップにしようと思ったのだが、新宿のデパートに出る前に雅泉さんに知恵をもらおうと、足を運んでみた。が、開口一番の「マイセン?日本の技術の方が上よ」で私のアイディアはあえなく没に。予算の2万円では、マイセンなら最低価格だものな。なら、彼女の言うとおり、日本製にした方がいいかも。ノリタケの1客2万円カップ、バラの絵柄でなかなかシャープかつ温かみがある。彼女も私も、こんなカップをもらったらうれしいね、と言いあう。自分では絶対買えないもの。で、決めようとした時、店の隅にあった、切子(キリコ)の花瓶が私にささやいた。「私のほうが、いいんじゃない?」山本さんが咲かせた花をより美しく見せる花瓶か。いいかもしれない。私は、勇気を出して、申し出た。「これ、どうかな?」「???」ちょっと間があったが、「これは、保谷ガラスの製品。もう生産されないから、貴重なものになるよ」保谷ガラスが吸収合併するの?知らなかった。意外な展開で、記念品は青い切子の花瓶になった。
それから小1時間、陶器販売のプロから聞かされた話は実におもしろかった。彼女は役得で、最高の陶器を日常的に使っている、という。お茶碗は最高級の有田とか、お皿は伊万里とか・・というのであろう。今、同じものは売られていないという。すでに骨董品か。よいものが一挙に失われていく時代なのかな。しかし、いいなぁ。うらやましい。私は、主人が亡くなり、息子が独立し、家族が少なくなると同時に家の器を思い切りよく捨てたのだ。残っているのは、日常的に使う器と、母から受け継いだお気に入りのもののみ。本当のところ、陶器の知識も少ない。高尚な焼き物談義などできない。でも、100円ショップで食器を揃えたいとは思えない。訪れた街の陶器屋さんで、気にいった器を見つけるのが楽しみなのだ。しかし、よっぽどのことがない限り買わないが。
「日本は本当に土にめぐまれているから、多彩な器ができる。四季があって、食材が豊かだから、器の文化も豊かなんだよ。食べ物で困らないから、美しさにも敏感になれる。こんな地域に生まれた人間は、神様に選ばれた人間なんだから、本気で平和に貢献しなくてはいけない!」器も土と火の産物。茶碗や急須を売りながら、こんなこと考えていたんだね、と改めて彼女の顔を眺めてしまった。昔は、おとなしい器やのお嫁さんだったんだけどね。

おしゃべりしていて、切子の花瓶を写真に撮るのを忘れた。写真は、今人気のノリタケ製品の野菜シリーズ。