[俳句]秋深き

newmoonakiko2006-11-05

日中の暖かさが嘘のように日暮れは寒い。コンビ二で、肉まんを買って、食べながら歩く。月は高く、冴え冴えとしている。今日は、十三夜か。卑近な例だが、看板をつけるとき、なるべく目線から下につけた方がいい、とアドバイスを貰ったことがある。そうか、人は特別な時以外に空を見ない。ことに思い煩うことの多いこの時代、人は下を向いて歩いていく。わからぬでもない。
しかし、八方塞り絶対絶命の時、人は天を仰ぐ。太陽の光を頂き、太陽の光より淡く、月は輝いて空にある。明るいとは、月の光を言うという。月の光は心の内を照らし、荒ぶれた心を静める。月と道行の人生。悪くないではないか。


月を割る鋭き鉈をもてあます

という怒りの心境にも、月はつきあい

月心天影たくましく現れり

というふてぶてしさにも、月は語らず

十三夜耳あてて聞く夫(つま)の声

という甘い感傷をかわす。

ところで、8歳のSちゃんの月の句、

まるまってうさぎがねている月のなか

夜の月たぬきがわたしにあいにきた

8歳に戻れない。8歳にかなわない。