[食]MIKANN

newmoonakiko2006-11-07

いよいよ、ミカンが出回ってきた。近所の軒先では、粒は小さいが瑞々しいミカンが、12個100円で売られている。「このミカンを作ってる子はだんなを亡くして、手がないものだから、出荷できないの。買ってやってね」ミカンを作ってる子って、このおばさん夫婦が仲人をした子をいう。おばさんは、70代後半か、子もとうに中年だ。この地域では、仲人してもらった人を仲人親という。親子のように面倒をみ、子の方も心を寄せるものらしい。お歳暮の話をしていて、一番値のはる品物は仲人親に贈ると知って、びっくりした。
村の長老は、地域の若者たちの頼まれ仲人をしていたのであろう。それが、今でもしっかりと残っていることに驚く。夫婦や家族の問題を仲人親に相談しているのだろうか。それとも、単に儀礼的なつきあいになっているのだろうか。この仲人親のおばさんは、子のめんどうを見ているようだけれど。都会生まれで、しかも、仲人なんて頭のスミにもなかった私としては、なんだか、奇妙にも新鮮にも見える。よくよく聞いてみると、同じ親を持つ子がたくさんいるのだ。血縁、地縁、仲人縁。都会では、完全に失われたものがまだ息づく小田原の街にミカンがたわわに実っている。