{食]タイビール

newmoonakiko2007-06-21

思いもかけず、原稿料を手にした。1万円だけれど。その中から、原稿料を出してくれたNPOの会費を払ってという。ごもっともです、喜んでお支払いしました。同行してくれた仲間にガソリン代を渡したら、おやつ代にするという。みんなの分のワッフルになった。みんな、喜んでくれて私もうれしい。さて、その後、小用があって、鎌倉に足を伸ばした。行きは、佐助から長谷を抜け、夕焼けの道を歩く。外国人の青年に「銭洗い弁天はどこ?」と声をかけられる。帰りは、とっぷり日も暮れていた。夜の小町通りは、まったくといっていいほど、人がいない。昼の賑わいがうそのようだ。小道に入ると、ひとつふたつ飲み屋の灯りがともる。ようやく、静まった街に鎌倉の住民が、一杯飲みにやってくる。立原正秋の馴染みの寿司屋、小林秀雄のいきつけの飲み屋、よくは知らないが、今でも鎌倉文士の憩う酒場があるのだろう。
ちょっと、暖簾をくぐってみたい。でも、気が引ける。そこで、タイ料理店「パパテオ」に入り、シンハービールと焼きそばを食べる。本当は、蕎麦やがベストなのだが、どこも開いてはいない。店の先客は、女性ひとり。窓から見える電車を見ながら、こちらもビールを飲んでいる。シンハービール、小瓶630円。タイで飲むなら、30バーツ。日本円で107円ぐらいか。これを贅沢というのか、よくはわからないが、ともかく、現地価格の6倍のお金を出してタイのビールを飲み、少しふっくらした三日月を供にして、私は家路についた。鎌倉宮若宮大路、たくさんの亡霊たちに誘われないように身をひそめて。