宮迫千鶴さんへ

newmoonakiko2008-06-20

なによりも知性と猫とおいしい食べ物を愛した宮迫千鶴さんがリンパ腫で亡くなった。享年60歳。私にとっては、知恵袋、なんでも解決してくれる姉のような存在だったと思う。もちろん、宮迫さんには迷惑な話だったろうが。

我らが時代の論客は、知性に霊性が加わり、なにか触れるのも怖いような世界の住人になってしまった感もあった。が、会えばいつも快活で、すべてに一刀両断のシャープな感覚は変わらなかった。

しかし、こんなにいそがなくても。今世やるべきことはしてしまったの?

私が履いていた赤い靴が気にいったのに宮迫さんの足に合うサイズがなくて怒っていたね。古着屋で着物を物色してたら着物の着丈が足りないと嘆いていたね。靴はどうにもならなかったけれども、背丈がほぼ同じ知人を口説いて、着物を譲り受けてきたよ。どうだろうか、こういう古典柄も似合うのではないだろうか。

ああ、なのに。
もう、靴も着物もいらないよという声が聞こえる。
ああ、確かに。
なにもかもいらないね。

およそ大きさも量も形もなき、融通無碍なる清冽な魂には。

さようなら、宮迫さん。