お城通り再開発問題

newmoonakiko2008-08-10

市民会館会議室で開かれた「お城通り再開発問題勉強会」。市に対して起こした住民訴訟の裁判は、再開発見直しを掲げる市長が当選したことで、延期となった。国鉄跡地払い下げから周辺の8割強の土地の買収、計画立案にいたる20数年。この間の行政の努力は並々ならぬものがあったと思う。なにせ駅前の一等地だ。その時々の商業者の考えに振り回されたこともあったのではないか。それぞれの利害を調整していたら、小田原評定になるのもわからないでもない。

しかし、小澤市政が4期目に入って提案された事業内容は、残念ながら市民の福利に貢献するものとは思えない。
その理由は、まず駅前に大規模商業施設を作ることにより、駅周辺の商業を衰退させることだ。経済産業省の商業統計によれば、小田原市の売り上げ高はこの15年横ばいで2500億円から2600億円。しかし、駅前の売り上げ高は、平成2年640億円だったものが、平成8年には420億円、平成13年には約200億円と激減。その要因は、川東地区大型商業施設、駅前ラスカのオープンによるものと見られる。大規模な商業施設では、新たな集客が望めないということは明らかなのだ。こうした施設に税金を使うことは、地方自治法2条14項に違反する。

平たく言えば、ラスカはオープン以来賑わっている。しかし、ラスカの売り上げは、高い賃貸料を出して出店した地元の商業者の利益はあるとしても、ほとんどは小田原の収益にはならない。市の土地にラスカの2倍の売り場面積の商業ビルを立てる必然性が見えない。百歩ゆずって、商業スペースにするなら、城下町を切り口にしたテーマパークにして、地元の商店を集めて町並みを作ってしまうことだ。江戸の小田原を現代的に再現し、地元の建築家、地元の木を使い、地元の職人の英知を集めたい。なんてことは、夢のまた夢だから言わないが。

ともかく、現時点では商業ビルの代わりに城下町ホールを建設するのは、さも現実的な政策転換ではないだろうか?「お城の見えるホール」として、県西に誇れる機能性のよいホールができることを望みたい。ホールに敷設する商業スペースに1割強の地権者が参加してはどうか?これは、偽りのない大儀だと思うので、必ずや実現できると信じる。

ともあれ、裁判で決着したのではなく、民意で市政の変更を行うことができたのだ。あとは、行政関係者が新しい枠組み実現に向けて努力してもらうこと。市長は、公約通り、すべての問題を市民に公開すること。この2点は、切にお願いしたい。

訴訟の代理人、大川隆司弁護士のお気に入り老舗「だるま」本店で、軽く一杯。小説家・川崎長太郎(今時の人は知らないかもしれないな)の好物、天ぷらを夕飯のおかずに買う。地元に貢献!