排出量取引制度

温室効果ガス削減を目指す国家間の排出量取引制度。はじめて聞いたとき、排出量をマネーゲームにするの?とびっくりした。排出枠の過不足を売買するというのだから。私の国は、あらかじめ決めた上限からこれだけ多くの温室効果ガスを努力して減らしたから、目標を達成せきなかったあなたの国にその分を売ってあげようというしくみ。日本は省エネ技術が優れている国なのだから、本気になれば排出枠を売れるはずだ。と、同時に多少の経済的余裕もあるので削減コストよりも安ければ排出枠を買えるわけだ。

この排出量取引が日本国内でも始まるという。EUでは政府が企業に排出枠を決めているが、日本版は業界ごとに自主的に削減枠を決める。どの業界もエネルギーを使って炭酸ガスなどの温室効果ガスを排出して成り立つ。排出量の規制は、産業の停滞を招くと積極的ではない。

では、どこを温室効果ガスの吸収源にするか?農林省では、堆肥を多用する、あるいは有機物を使う有機農業は、炭素の貯留機能が高く、二酸化炭素の削減に効果があると小さな声で発表している。土に化学肥料を入れると発生する一酸化二窒素は、二酸化炭素の300倍の温室効果があるというし、水田から出るメタンも二酸化炭素の23倍も温室効果があるという。しかし、有機農業に転換するとこれらの温室効果ガスが大幅に抑制することもわかっている。

有機農家の某さんは、「うちの畑の削減量を企業の排出枠にあてる」と言っている。いえ、企業に売ってやろうじゃないか!と啖呵を切っている。野菜も売り、炭素枠も売り、そのうち、空気も売り・・いや、野菜を買いに炭素枠を買いに空気を買いにやってくると笑っている。本当の話だろうか?ならば、日本国中の荒地を有機農業にして、そこに固定する炭素量を企業の削減枠に組み込んだらどうか。そんなみみちい計算をしなくても、ともかく大地をむき出しにしている無策をどうにかしなくちゃあね。