[環境]蔵王川


蔵王川は、蔵王火山山系を水源して最後は最上川にそそぐ。流域面積39.5平方キロ、長さ9.3kmの一級河川。この川の上流、上山市に硫黄の鉱山ができたのが、大正5年。一時閉山して、昭和11年に再び開山し、硫黄が自由化される昭和38年まで、採掘が行われていたという。

そして、この流域に残されたものが、お決まりの公害問題だった。強い酸性という性質を持つ鉱毒が、美しい川を魚の棲めない川に、草木は枯れ、山は緑を失った。それから、45年たった今でもそれはかわらない。川には、赤錆色の石があり、下流の水田は土病(じやまい)にかかり植えた苗は分けつもしない。

かみのやま温泉駅から15分、蔵王山の麓でそば料理店「木こり」を経営する斎藤貢さんら「かみやまEM交歓会」が、この川を生きた川にしたいと立ち上がった。今までも、手をこまねいたわけではない。あらゆる専門家の意見を聞き、関係官庁に陳情もしてきた。でも、どんな方策も見出せなったという。

その斎藤さんが、もうひとがんばりしようと決意したのは、地元中川小学生が、卒業の記念に作詞作曲した「蔵王川」だ。

むかし 蔵王川は とても きれいな川だった 泳ぐ人 つりする人もいたよ
むかし 蔵王川は とても きれいな川だった 鯉やふな くきもどよどよどいたよ
むかし 蔵王川は とても きれいな川だった 飲み水にも田んぼの水にも使ってた

いま 蔵王川は まだ いおう流れ魚たちも虫も もどってこない 
でも 蔵王川はぼくらの川だ

ぼくらが 大人になるころは 魚が 住めるといいのにな
やっぱり 蔵王川はぼくらの川だ

斎藤さんらは、この歌を大人たちへの訴えと聞いたのだ。そして、川の浄化に役立っているEMを流してみたいという仲間たちが集まった。重金属を浄化できる微生物はいないというのが常識である。しかし、ベラルーシでEMが放射能の害を抑えたという事例があることを知った斎藤さんらは、挑戦したいという。子どもたちが大人になる前にきれいな川になることを祈って。

私は、学生時代に組曲蔵王」という合唱曲をよく歌ったものだ。でも、こんな蔵王川については知らなかった。