芸術の力

小田原再生フォーラム「100年後の未来へ!人を育む芸術(アート)の力」。ゲストは、ピアニストの伊藤京子さん。ぜひ、小田原で講演をしていただきたいという夢が叶った。天から与えられた才能は人のために使う、社会に貢献しない芸術なんて意味がない。こんなふうに自信をもっていえるピアニストが伊藤京子さんだ。説得力のある話、素晴らしい演奏。会場に来た人たちは、多分たいへんな勇気をもらったことだと思う。

人それぞれ持っている才能を自分の名声や財産のためだけではなく、幸福な社会のために使う。それが人として生まれた役割なのだと。伊藤さんは、小田原の市長選での市民の働きに感銘して、小田原へ来てくださり、市長との対談も実現した。たまたま、NHKラジオ深夜便心の時代の担当者も伊藤さんとの打ち合わせのために会場に見えていた。その方が、帰り際、「市長との対談なんて儀礼的だと思ったが、なかなか新鮮でよかった」とおっしゃっていた。伊藤さんが、市長の考え方をよく理解されていたからだろう。

伊藤さんの最後の演奏曲は、ショパンの「革命のエチュード」だった。小田原の会場の雰囲気を見て、モーツァルトの「トルコ行進曲」を弾くということであった。なぜ、急に演目が変わったのか?たぶん、参加された方たちには理解されると思う。激しく、時に狂おしく、時に醒めて、勝利と挫折を繰り返して、世の中はよくなっていく。希望を失わずにがんばろうね、というメッセージだったのだろう。芸術ではお腹がいっぱいにならないが、心は満たされ、勇気づけられる。