2つの生命維持装置

安保徹先生の「免疫革命」は大ベストセラー。続く「人が病気になるたった2つの原因」。安保先生「題名が悪いのか売れない」とぼやいたとか。「人が病気にならないたった2つの方法」だったらいいのかな?

病気を治す方法は誰でも知りたいが、病気になる本当の原因は知りたくない。そんな気持ちもわからないではないが、医学が進歩して病人が減るどころか増えていると、やはり根本的な病気の原因を見据えることしかなくなる。

病気になるのはその人の生き方に原因があるとは、よく言われることだが、そこを安保先生は生命の起源から掘り起こし、生命エネルギーを「解糖系」と「ミトコンドリア系」2つのキーワードにわけて、この系統のバランスを崩すと病気になると説く。

「解糖系」エネルギーは、食べ物の栄養素(とくに糖質)を原料にして細胞質で作られ、分裂が速く、瞬発力・即効性に富み、酸素を嫌うという性質を持つ。交感神経を司る。こちらは、適度な冷えで働く。一方、「ミトコンドリア系」エネルギーは、解糖系で生産された栄養素と酸素、日光などを材料に大量のエネルギーを生み出す。こちらは持久力と成熟に関わる。そして、酸素が好き。副交感神経を司り、適度な温かさを好む。

この2つのバランスを崩すと病気になる。つまり、酸素が不足し体温が低くなると「解糖系」が頑張りすぎ、「ミトコンドリア系」が働かない、ということになる。カラダは正直に反応しているのだが、人間にとっては病気となってしまう。

頑張ったら(解糖系を使ったら)、ゆっくりと休息(ミトコンドリア系を使う)をとる。これが、病気にならない生き方なのだ。薬や手術で病気をなくすことはできない。この事実を人間が認めるためには、100年、200年、ガン患者が4代ぐらい続かないといけないかもしれない、と安保先生は言っている。

巧妙な生命維持システムは人生論にも通じる。むずかしいことを簡単におもしろく書いてくれた安保先生に感謝。