[暮らし]すてきな70代

あのね、私ね、若い頃から、肌の手入れはこれ1本なのよ。
と言って福井市在住の79歳、三上貞子さんが取り出したのがお手製の化粧水。純米酒2合を沸騰させてアルコール分を飛ばす。そこに半分に切った柚子を入れて出来上がり。陽にあたる農家でありながら、ソバカスひとつないすべすべのお肌。眉ずみと口紅だけで60年。美しい肌は女の勲章だ。和裁を生業にしていた三上さんが、本格的に農業を始めたのは60代後半。ジャガイモにマルチをかけるゴロゴロ植えなど、EMボカシと鍬と鎌と6Lの散布器だけで耕すラクラク農法が、高齢者にぴったりと評判をよんでいる。常識にとらわれない創意工夫。頭の冴えが美肌の基なのだろう。

かたや、木下美恵子さんは、福井県越前町朝日生ごみリサイクルネットワーク会長。校長先生まで勤めた72歳。地域の生ごみをEMボカシで堆肥化し、野菜を作って、販売するまで仲間をまとめて作り上げてきた。弁舌さわやか、さすが先生だ。私の役目は、ひとりひとりの良さを発揮してもらって、地域の環境に対する意識を底上げすること。そして次のリーダーを育てること。実に明確だ。

年をとっても魅力的に生きる。高齢化社会も悪くない。