子どもの甲状腺がん

東京電力福島第1原発事故による放射線の影響を調べている福島県の「県民健康管理調査」によると甲状腺がんと診断が「確定」した子どもは前回(昨年11月)の26人から7人増え33人になった。「がんの疑い」は41人(前回は32人)。甲状腺検査は、原発事故発生当時18歳以下の約37万人を対象に、1次検査でしこりの大きさなどを調査。軽い方から「A1」「A2」「B」「C」と判定し、BとCが2次検査を受ける。

「確定」と「疑い」に加え、手術の結果「良性」と判明した1人を含む計75人のうち24人について、原発事故が起きた2011年3月11日から4カ月間の外部被曝(ひばく)線量も公表。1ミリシーベルト未満が15人、1ミリシーベルト以上2ミリシーベルト未満が9人だった。

さて、福島県では「評価部会」なるものが行われていて、激論が交わされたらしい。
チェルノブイリ事故では、甲状腺がんが4年目から発生しているのに早すぎるのは、どうしてなんですかね。チェルノブイリ事故は、4年間隠蔽され健康調査は行われなかった。しかし、危険と思われる地域の住民を強制移住させた。そもそも「チェルノブイリ事故では、甲状腺がんが4年目から発生している」というのは、科学的データではないのだ。学者先生方は、そのことを承知しているのにそこを言わないのが不思議でならない。

で、福島原発事故甲状腺がんの因果関係を調査するそうで、環境省は比較のため、青森、山梨、長崎の3県で子どもの甲状腺検査を実施した。約4500人のサンプル検査で、1人にがんが見つかた。国際的にみて、韓国など甲状腺がんは増えているので、原発由来とはいえないという学者もいる。だから、なんだというのだろうか?

座長で、日本医科大学内分泌外科大学院の清水一雄教授は、「がんが小さい場合、内視鏡を利用した手術をすれば、傷も残らない。すでに700例を実施しているが、まだ保険診療になっていないが、ぜひ、国の支援で、子どもたちに傷の残らない手術をできるようにしていくべきだ」と話したという。

チェルノブイリの子どもたちの支援活動を行っている野呂美加さんは、子どもたちの首の傷が見えないようにネックウェアをつくろうと話していた。現実には内視鏡を使える医者が少ないのだ。


ところで、朝日新聞4月2日朝刊記事の電子版を発見。
福島県民、がん増加確認できず 国連の原発事故報告
医療・被曝担当=大岩ゆり
2014年4月2日03時06分
 東京電力福島第一原発事故の健康への影響を分析した国連科学委員会の報告書の全容がわかった。福島県民は全体的に、がんの増加は確認できないと評価した。原発30キロ圏内にいた当時の1歳児に限っては、甲状腺がんの増加が確認できる可能性はあるが、現在はデータが足りないために結論が出せないとした。報告書は2日に公表される 。

国連科学委の報告書は、原発事故に関する報告書では国際的に最も信頼されている。科学委は、日本政府の観測データや世界の研究者の論文などをもとに、福島県内外の住民について、事故当時の1歳と10歳、成人という3分類で外部被曝(ひばく)と内部被曝線量を推計。健康への影響を調べた。

報告書によると、事故後1年間の全身への被曝線量は、原発周辺も含めた福島県全体で成人は平均1〜10ミリシーベルト、最も影響を受けやすい1歳児は約2倍になると推計した。1歳児でも、がんのリスクが明らかに高まるとされる100ミリシーベルトを下回った。

放射線の健康影響については安全を優先し、わずかな被曝でもがんのリスクが増えるという前提で評価する。報告書によると、被曝とは関係なく日本人の3人に1人はがんになり、生涯のがんリスクは平均35%だという。福島県民の平均的な全身被曝では、仮にがんが増えたとしても、その増加幅は35%に比べて極めて小さいため、統計的には確認できないとした。

チェルノブイリ原発事故で唯一、被曝の影響が科学的に証明されているのは甲状腺がんだ。全身被曝ではなく、甲状腺への被曝が100ミリシーベルトを超えると、がんのリスクが高まると考えられている。

報告書では、福島第一原発の20〜30キロ圏内にいた1歳児は、事故後1年間の甲状腺への被曝は平均47〜83ミリシーベルト、20キロ圏内の1歳児は平均15〜82ミリシーベルトと推計。80ミリシーベルト近く被曝した子が大勢いれば、甲状腺がんの増加が統計的にもわかる可能性があるとした。だが、地域ごとの子どもの甲状腺被曝線量のデータなどが不足しており、結論は出せないとした。

ただし、福島で甲状腺がんが増えたとしても、チェルノブイリ原発事故のような6千人規模にはならないとしている。チェルノブイリ原発事故の避難民の甲状腺被曝線量は平均約500ミリシーベルトだからだ。

現在、福島県内の子どもの甲状腺検査で見つかっているがんやしこりについて、報告書は「集中的に検査しなければ見つからなかっただろう」と指摘。「大多数は原発事故の被曝とは関係ない」と判断した。

報告書は、新たな知見を踏まえて数年後に見直される予定だ。
(医療・被曝担当=大岩ゆり)

この記事、4月2日の公表の前に書かれている。朝日新聞のスクープか、あるいは朝日新聞大本営発表機関なのか、疑問だ。どちらにせよ、誰のための医学かマスコミかと思わない?