[食]小田原干物事情

newmoonakiko2006-02-17

小田原名物といえば蒲鉾・梅干・干物かな。今晩のおかずはえぼ鯛の干物です。ところで、HPで小田原干物直販ページを検索すると、美味しいそうな干物セットが出てくる。小田原の干物の美味しさの秘密は、まず干物にうってつけの魚が水揚げされるとある。でもね、小田原の主婦は知っている。なぜって、小田原の港に水揚げされる魚は危機的に減って、小田原産あじの干物を口にできるなんてことはめったにないのだ。たまに地元の魚屋さんが、店先のテントの下で、小ぶりのアジを日に干していることもあるが。最近では、それも珍しい風景になってしまった。
アジの干物もエボ鯛の干物も、金目もイカも、みんな輸入物だということは、とっくのとうに知っていた。しかし、ここ数年前まではよかった。原材料の産地を表示しなくてもよかったから。加工した場所が小田原なら小田原産干物で通用したのだ。でも、食品表示法ができてからは、エクアドル産金目鯛、小田原加工なんてことになっている。手広く干物工場を営んでいる友人から原産地表示の干物をもらった時、私は彼女の心情を思ってこのことについて何も言えなかった。
干物にする魚が獲れなくなったのは、別に干物工場のせいでもない。輸入魚を干物にして小田原産干物としていたのも別に違法行為でもなんでもない。秘伝といっていい小田原の干物加工技術は、今でも全国に誇っていいものだと思う。でも、「ずっと小田原産のあじの干物を作れない痛みのようなものがあった」と言って欲しい。
しかし、干物に限らず、食べ物の素性がなにもかも明らかになると、すべてが味気ないものになりそうで空恐ろしい。