春の日の象の孤独

newmoonakiko2006-03-31

小田原城址公園には、全国でも珍しい市営の動物園がある。象の梅子は、昭和25年にタイからやってきたインド象で、推定年齢59歳。日本にいる象の中でもベストスリーに入る長寿だそうだ。息子たちが小さい頃、ここが彼らの遊び場であり、私にもとってもいい気分転換の場だった。
最近、ゆっくりと城のまわりを歩く。どこから現れたかと思うほどの花見を楽しむ人が象の檻を囲む。昔のように餌をねだることもなく、時には銅像のように動かず、まるで黙想をしているような梅子。
実は私が生まれて始めて見た象も梅子だった。子どもの頃、この象をどんな感じで眺めたのだろう。「大きいな、でも可愛いな」と思ったのだろうか。こちらの身体が大きくなっても、象はあいかわらず大きい。満開の桜、たくさんの人たちのざわめき。大人になった私は、忽然と浮かび上がる春の日の象の孤独を眺める。


今、ラジオで総務委員会のNHK予算に対する審議を聞く。紅白歌合戦の経費が3億だって。もう、国民的番組だとかいって、食い物にできないでしょう。受信料を取りに来た職員が、「このままだと国営放送になる」と嘆いていた。それも、困るかな?テレビがないんだからどうでもいいんだけど。