桜の樹の下には

newmoonakiko2006-03-30

桜の樹の下には、たくさんの屍体が埋まってゐる!これは信じていいことなんだよ。
この季節、かならず誰かの口にのぼる梶井基次郎の短編。まだ土にならない生々しい屍体。桜の根っこは、そこから血液や体液を吸い取る。そして、身体は土となり霊魂は花となる。信じていいことなんだよ、といわれるまでもなく信じられる。
ところで、最近では土葬という習慣も少なくなった。膨大ないのちの集積に人間が参加するためには、骨を木綿の袋に入れて埋葬するのが正しいそうだ。そうすれば、袋も骨も土に返る。タイでは、基本的に川に遺骨を流すが、最近では土葬も多くなったと聞く。その時は、装飾をこらした壷に遺骨を入れ、その壷をふたつに割って土に埋めるそうだ。なるほど、理にあった方法だ。
しかし、たくさんのいのちが朽ちていくのに土が1cm増えるためには長い長い時間が必要だという。土にはたくさんのいのちの不思議がつまっている。
たまには、土の上にムシロを敷き花見をしたいものだ。