土から始まる街づくり

newmoonakiko2006-03-29

NHKとJAが主催する第35回日本農業賞。昨年から設けられた「食の架け橋賞」に山形県長井市レインボープラン推進協議会が選ばれた。この特別賞は、離れてしまった食と農との距離を縮める取り組みに贈られるという。長井市の市民は、生ごみを資源として生産者と消費者が、それぞれの立場から安全な食づくりに参加する街づくりを20年近い時間をかけて作り上げている。まさしく、この「食の架け橋賞」にふさわしいと思う。
私が始めてこの取り組みを知ったのは、「アエラ」に掲載されたルポ記事からだった。単純なごみ分別がスポットライトを浴びている中で、それとは一線を引く、生ごみを土づくりに生かすという発想、食べる人が農地のたい肥を作り、農家がそのたい肥で健康な作物をつくるという循環。消費者は単なる消費者ではなく、たい肥の生産者として、食と土、農に参加していく。農地を通したまちとむらのいのちの関係。いいじゃないですか。壮大なロマンを感じたのですよ。
私自身も生ごみを土に返して野菜を作り、生ごみを通して土と繋がっているという感覚を取り戻した頃だった。以来、私のレインボープランへの注目度は増すばかりだった。
それから、何年かしてこのプランの立役者の菅野芳秀さん(現在は会長)の講演を聴く機会があり、その熱い想いに触れることができた。「生ゴミはよみがえるー土はいのちの源」(講談社)は、菅野さんが子供向きに書き下ろした本であるが、大人が読むとなぜか心洗われる不思議な魅力に溢れている。それも、彼自身が長年自然卵の生産にこだわり,有機農業に心血を注ぎながら、日本の農業のありように疑問を投げかけてきたという、ゆるぎない基盤があればこそだと思う。
時代を作るには、その時その時の表現者が必要だし、また期せずして様々なところに現れてくるものだ。長崎の吉田さんもそうだが、彼らの語る言葉で、私たち、少なくとも私は、土=農業やまちづくりにどう関わっていけばいいかのヒントをたくさん頂いている。そういえば、菅野さんの本は貸し出しのまま、まだ返ってこない。誰かの愛読書になっているなら、それもいいか。

写真は3月18日NHKホールでの表彰式の様子を紹介したレインボープラン推進協議会のHP。びっくりするほど背が高い人が菅野さんだ!
http://lavo.jp/rainbow/