土から始まる食育

newmoonakiko2006-03-28

先日、長崎で食育運動を実践している女子高の先生と話したのだが、アレルギーの子、風邪がなかなか治らない子、生理のない子、わけもなくイライラする子など、身体と心に問題のある子がたくさんいると言う。いずれも、きちんとした朝ごはんを食べていない。朝ごはんだけでなく、夕飯さえあやしいのだ。彼女らの多くは、近い将来母親になる。次の命をはぐくむ体としては、はなはだ頼りない生命体に思えるというのだ。これは何も女の子ばかりの問題ではない。男の子も同じであろう。現実に人工受精で生まれる子どもは65人の1人と年々増えているのだ。こうのとりが赤ちゃんを運んでくるのは、だんだん奇跡になってくるかもしれない。だから、食育は高校生になってからでは遅い。3世代かかって、元気な子が生まれるのだという話だった。
彼女が参加する「大地といのちの会」は、生ごみを土に返して元気な野菜をつくることから、食への関心を呼び起こし実際に食を変えることで、自分が変わることを実感するユニークな食育活動を行っている。農業改良普及員から自ら有機農業へ転進した代表の吉田俊道さんは、「食の乱れは人間が土と離れてしまったから。生ごみで作った元気野菜を食べて元気になり元気な街をつくろう」と呼びかけている。生ごみを単なるごみだと思う人、生ごみ堆肥など畑に使えないと思う農家もたくさん、たくさん存在する。でも、「申し訳ないけど、そういう人を説得する時間がもったいない。わかった人から元気になろう」と言う。私もそう思う。身土不二から現代型栄養失調という現代の問題まで、実に巧みに論及している。この取り組みを丹念に追っている西日本新聞社もたいしたもの。ここ1ケ月、吉田さんの取り組みを「土から始まる食育」というタイトルで数ページにまとめるのが私の仕事だった。歳は私より一回り下かな。講演は実に陽気で快活。しかし、個人的に話すと実に緻密な深慮遠謀のある人物だということがわかる。行政マンをやめて人生は大転換し、今では全国区だ。
とても楽しい仕事だった。感謝している。

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