音楽祭で街づくり/人づくり

newmoonakiko2006-05-07

今年で第8回目を迎えた大分県別府・アルゲリッチ音楽祭の総合プロデュサー伊藤京子さんの音楽講座を聞く。伊藤さんは、いわずと知れた国際派ピアニストだが、自分の才能を自己完結させるのではなく、音楽を通して社会へどう関わるかを真摯に考え、実践する芸術家だ。年に1回伊藤さんのお話を伺っているが、「子供たちに今一番大事なことは、見えないものに感動する心を育てることーそれは、音楽であり文学であり絵画であり、芸術である」という信念はゆるぎないものになっていることが、強く感じられた。
この音楽祭は、子供たちによい音楽を与える場として、また音楽家を志す若者の発表とアジア地域との交流の場として、そしてなにより地域の創造と発信の場として、たくさんの市民が関わっているという。開催までの下準備をするミーティングポイントが地域に14もあり、そこで、さまざまな市民が交流している。大金をポンと出す企業の冠音楽祭とは、一味もふた味も違う。
「行政にも力を借りるために議員さんにもお話するのですが、どうも男性の政治家は、見えないところにお金を使うのをいやがるようですね。本当に魅力のある街には、花や緑に囲まれた美しい町並み、その土地に住む人の心映え、やさしさ、おもいやり、そこにいかなくては味わえない空気感といったものがありますよね。男性は大きな、目に見えるものしか関心がないのは残念」とかなり手厳しい話もあった。
小田原は、市民会館の建て直し時期が迫っている。市民が運営する市民会館構想もあったっていいのにと思うが。パイプオルガンとは言わないが、グランドピアノは欲しいです!とか。文化の中身を考えて、箱(建物)を作らなくてはと思うのだが、これがなかなかうまくいかない。
機会があれば、1度この音楽祭に行ってみたい。

アルゲリッチ音楽祭のHP
http://www.argerich-mf.jp/press.html

写真の女性は、総監督のアルゼンチン生まれの天才ピアニスト マルタ・アルゲリッチさん
ふたりの女性が作り上げる音楽祭としても興味深い