お母さんのメッセージ 夫のメッセージ

newmoonakiko2006-06-15

昨夜、家の掃除が終わったのは、午前3時だった。「俺が死んだら、お前困るだろうな」と言いながら、はたきをかけていた夫を思い出す。どんなに締め切りが迫っていても、まずは掃除を終えてから、原稿用紙に向かっていた夫。やってもやっても終わらない仕事の後に、やってもやっても終わらない掃除がついて回る私。お金にも困るだろうが、それ以上に掃除に困ると夫は見通していたようだ。2週間、パソコンに向かっていたら、埃の中に生きていた。今日は、若い美女2人が我が家にやってくる。見栄っ張りの私は、「やってやろうじゃないの」という気分で掃除にとりかかった。
部屋に入るなり、美女ふたりは「わぁ、きれいにかたづいている。すてき」と言った。やったね。がんばったかいがあった。美女Aは、夫の最後のガールフレンドで「パパ(夫のこと)をドライブに連れてってあげたくて、免許をとったんだよ」と言う。美女Bは、夫のことは知らない。ただ、嘘つき美女Aの伝説のおじさん話に夫が他人とは思えないらしい。「車に乗ってね」「まだ、死になくないから遠慮する」夫が亡くなる3か月前の話だ。
そのAちゃんも、昨年母上を亡くした。そのお母さんが、彼女の夢枕に立って「にわとりに気をつけて」とつぶやいたそうだ。何だろう?と思ったら、心当たりがあったのだ。妻を亡くした寂しさを紛らわそうと、お父さんは犬を飼った。ところが、思いもかけず犬のエサ代がかかることが判明。そこで、バイトを始めたのだが、そのバイト先がなんと「ケンタッキー」だった。「お母さん、お父さんが心配になったんだね。だって、ケンタッキーのバイトが勤まるお父さんじゃないもの。なんで、直接言わないのかしら?」と娘。実は夫も私の夢に出てこなくなった。しかし、今朝「いつも、きれいにしておくのが当たり前」って、すれ違い様に息子がつぶやいていたことを思い出した。まるで、息子の口を借りて夫が言っているようだった。あの世とこの世は実におもしろい。
美女ふたりと食べた有機栽培プラム。すももも、ももも、もものうちというやつ。梅雨の鬱陶しさを追っ払うような美味しさだった。