老いて幸せに

newmoonakiko2006-10-01

神奈川県寒川町にある介護老人福祉施設「寒川ホーム」を取材する。ここを訪れるのは、2回目。施設長の三澤京子さんは、脳梗塞で倒れた父親を介護する必要から、自宅の敷地と資金を基に施設を立ち上げた。施設介護(特別擁護老人ホーム)と居宅介護サービスを行う。
我が家には、老人はいない。ひいていえば、日々老人になる私がいる。団塊世代の最後っ屁が75歳になる2025年以降は老人は減っていく。今抱える老人問題は戦後の急激な人口増加の結果なのだ。2025年以降は、老人も子供も減少してバランスのよい国家になるのではないか。今のままでいけば、多額の借金が彼らの肩にかかるのだが。それを少しでも軽減させるために死ぬまで元気な老人にならなくてはならない。
4月から介護保険法が改正され、介護から予防に重きが変わった。介護保険は今から6年前に認定者218万人でスタートしたが、今年3月では456万人、2倍に膨れ上がった。さらに軽い介護ですむとされる人たちが84万人から224万人へ。この背景には、長寿に加えて、民間の介護サービス会社の顧客掘り起こしがあるという。老人はお客様になったのだ。お金持ちの老人は、引く手あまただ。介護が新しいビジネスチャンスとなると思ったら、今度は国のお財布が持たなくなっていた。法改正で、中小の介護サービス会社は倒産の危機にあるという。なるほどね。しかし、この計算問題は予想できた範囲内のものではないか。
「老人介護を家庭だけの問題にせず、社会全体でみるという政策は悪くはなかったし、今回の介護から予防にシフトを変えることも必要だと思う。ただ、あまりにも急な方向転換で現場はついていけない」んだそうだ。そして、老人の人権に話が及んだ時、「長男の母親に対する虐待は問題だ」と。これは、私にとっては聞き捨てならない発言だった。介護保険改正より重大だ。家長制度など、もはや死語だと思うし、私の友人たちも長男に老後を託すなどは、はなから思っていない。しかし、これ、母親の無意識の長男に対する思い入れと執着の裏返しと考えたらどうだろう?ありえない話しではない。ここだけの話だけれど、ふたり産んでいてよかった。