[食]台所で変える人生

newmoonakiko2006-11-22

女優であり、エッセイストである松居一代さん。新刊「松居一代の超お料理術」を読む。松居さんの前半の人生は、息子さんのアトピー治療(著書「隆一の凄絶アトピー日記」「アトピーがくれた生きる力」に詳しい)、さらに離婚と心休まることのない日々だったらしい。しかし、子どものアトピーを治すためにあらゆる手段を講じた結果、やはり医食同源。「食」にいきつく。それから、安心して食べられる食をどこまでも求めていく松居さんの姿は、悲壮感さえ漂う。母親の愛は偉大だ。しかし、隆一くんのアトピーは見事に治まり、彼女自身も「運命の人」と再婚。太り気味の夫の体質改善に取り組み、これもクリアー。妻の愛も偉大。
新刊は、悲壮感もなく、楽しいお料理と御取寄せ情報満載だ。帯びに「健全な心と体は健全な家庭の食卓から」とある。家族に何を食べさせるか、その鍵を握っているのは、おおかたは女性である。もはや、「健全な家庭の食卓」がそう簡単に手にはいらなくなってしまっけれど、求めれば与えられる。いつもアンテナを張っていると、夫や子どもに食べさせたい当たり前の食べ物に出会う。松居さんが茨城ストロベリーハウス高安とぶっかったのも、ドライブ中に看板を見て「ここのいちごは最高だよ」という天からの声。EM栽培の無農薬いちごと知ったことから、EMにたどりつく。最近では、テレビ「金スマ」で比嘉照夫教授とのツーショットが見られたという。予期せぬ比嘉先生のテレビ出演に学生の間ではちょっとした話題になったそうだ。「先生、照れてる!」
人生は台所で変えられるほど、単純ではない。しかし、台所で変えられる可能性もある。おおいにある。