種を買う話

newmoonakiko2006-11-29

南ドイツ・フライブルグ在住のフリージャーナリスト・池田憲昭さんの話を聞く。池田さんは、34歳。グリーンツーリズムのコーディネーターでもあり、1歩先行く環境国ドイツと日本との架け橋となって活躍している。どうやって、持続可能な街づくりを行っているか、なかなか興味深い話の連続だった。ことに地方分権といっても、実は見せかけの分権であり、地方に権力を分散するだけで、市民社会の構築には程遠い。やはり、市民ひとりひとりがより決定権を持てるようにしていかなくてはと、鋭い指摘もあった。ヨーロッパも日本も同じか。一際印象的なのは、南西ドイツの小都市バルトキルトの市民グループ。彼らは、街の企業と市民が対話するEXPOの開催や、商店街にジュータンを敷き地元の料理を市民が楽しむイベントなどを企画。外から観光客を呼ぶのではなく、地域の豊かなネットワークづくりをめざして成功した。その活動を支えたキーマンが、事業の報告書のまとめに書いた文章。[この店で何を売っているかと聞いた若者に天使の売り子が答える。「ここで売っているのは、種です」と。私たちは、他人から果実が売られるのを待つのではなく、種を買い、自ら育てていくものだ]と。25日、アジアの持続可能な地域づくりのシンポジュウムで、日本の農民の代表として話したAFEC代表の菅野芳秀さんも、「新しい時代をつくる柿の種になろう!」と呼びかけて会場を沸かせていた。天使の売り子は、「幸せの種」を私たちに売ってくれるのであろう。あるいは、天使から買わなくても、この手の内にすでに用意されているのかもしれない。
ところで、柿の実から出てきた、たった1個の種。品種改良か、種なし果実が増えている。種も今や貴重だ。やはり、天使の贈り物、大切に育てなくては。