[食]胡麻もすれない

newmoonakiko2006-12-13

母がフライパンで胡麻を炒る。パチパチという音、芳しい香りが家の中に漂う。胡麻を擦るのは、子どもの役目で、もっぱら兄がやっていた。ホウレンソウの胡麻和えか。料理は覚えていない。とうに昔の話だ。
先日カヨ子さんから地元で取れた胡麻を頂戴する。黒胡麻と白胡麻。恥ずかしながら、こんな硬い殻の中に胡麻が入っているなんて知らなかった。枝を振ると、胡麻がこぼれる。実に面白い。
この胡麻、今では国内産は本当に珍しい。なにしろ、自給率1%だもの。どこから、来るのかと言えば、中国、ナイジェリア、ミャンマーブルキナファソタンザニアパラグアイモザンビークだって。世界の総生産のほとんどを日本が消費しているという。胡麻栽培に適した気候は、サバンナとはいえ、つい最近まで日本で作っていたのではないか。どうして消えちゃったの?予想されることは、手が掛かる割にはお金にならないからですよね。作ってはいけないと命令が出た?今では、中国からの輸入は減り、国際価格も高騰しているという。京都・老舗の胡麻豆腐は、大豆はアメリカ産、胡麻はアフリカ産。そんなことは、とうに知っていたけれど、歯止めが効かないのはどうしてかしらん。アフリカ・アジアに天変地異が起これば、日本人は胡麻を食べられない。胡麻油も使えない。日本の伝統食は実に危ういと、胡麻を炒りつつ、おばさんは憂いている。