[食]あこがれの晩酌

newmoonakiko2007-02-19

福岡正信。神様に近い存在になってしまった。続いて、西の山下惣一、東の星寛治。片や、社会派、片や学術派。東北には齋藤たきちという人もいることを最近知った。さらに川口由一、赤峰勝人。浪漫派農民。かなり前、二人の書いたものはよく読んだ。農業にはからきし興味がなかったのに。宇根豊さんという人もいるな。自然は究極のアートというが、その自然に一番近いところにいる人が表現者にならないわけがない。
高知の土佐自然塾の塾長山下一穂さんも、文章家だ。書きたいことが、山のようにあるという。それはそうだろう。故郷を捨てて、都会で自由奔放な生活を送り、その果てに心身共に病む。そして・・・故郷の山や川に癒されて、結局農業に行き着くというのは、いかにも現代的なストーリーではある。しかし、山下さんの面白いところは、既成の農業にとらわれていないことだ。もろに土と水と太陽に付き合うことで、実に美しい野菜を生み出している。農薬とか化学肥料とかを使う発想がない。農業を楽しもう、楽しみにしたい。そして、楽しみながら農業で国を変えたい、と思っている。自由奔放な人が、自然の規範にあった本物の自由人になっていく、精神的にお金からも解放されているのだろう。そこに物語がある。いわゆる農民という概念からはみだしている。そこに魅力がある。
その山下さんにコラムを書いてもらっている。一応、私が担当者なのだ。山下さんから、原稿がメールで届く。そのメールに「これから、至福の晩酌タイムです」と書いてある。至福の晩酌タイム?愛妻みどりさんと?面倒なことは、明日にしてねと読める。そりゃ、邪魔はできん。それで、原稿はいつもOKとなる。私のあこがれは、夫婦での晩酌にあった。田辺聖子とカモカのおちゃんみたいな。他愛のないことをしゃべって、ふたりで2合ぐらいの日本酒を飲んで、一日が終わるのがいい。晩ご飯のおかずは、酒のつまみで。
山下さんの晩酌は、翌朝のことを考えて7時半で終わる。私の夕飯が始まる時間だ。いや、まだ仕事中だ。私の微妙な胸の内を知らない山下さんが一言。「もっと感想とか書いて欲しい」って。よし、これから至極の晩酌タイムを邪魔してやる!まぁ、パソコンのスイッチが切られていれば、手も足もでないのだけれど。

東京駅近くの蕎麦屋の山下さん。静岡で講演後、山形へ。旅の途中の晩酌タイムに打ち合わせと称して侵入。勿論、ふたりで2合ではすむわけがない。同席の塩谷圭子さんと3人で話が尽きず、お決まりの晩酌時間を軽くオーバー。明朝(18日)は、みどりコールで起きるんだって。そりゃ、そうだ。
http://www.ecopure.info/rensai/yamashita/yamashita01.html