金子みすず

newmoonakiko2007-05-26

月2回のコーラスの参加が難しい。今日こそはと決心して出かける。今日は、浜圭介作曲編曲の新フィルをバックにした金子みすずを聞く。浜圭介とは、奥村チヨのご主人。ポップスの作曲家である。その浜圭介がなぜ金子みすずの詩に曲をつけたか。浜ー金子は、同郷で、浜さんの代々のお墓と金子みすずのお墓が、たまたま同じだったのが、どうも縁らしい。浜圭介が、みすずに興味をもち、調べていくうちに、作曲家の魂がゆさぶられたということか。みすずには、500以上の詩があるという。その中から、浜圭介が選んだ詩が、おもしろい。たとえば、

空の鯉

お池の鯉よ、なぜ跳ねる。

あの青空を泳いでる、
大きな鯉になりたいか。

大きな鯉は、今日ばかり、
明日はおろして、しまわれる。

はかない事をのぞむより、
跳ねて、あがって、ふりかえれ。

おまえの池の水底に
あれはお空のうろこ雲。

おまえも雲の上をゆく、
空の鯉だよ、知らないか。


歌うのは、声楽家佐藤しのぶ。

私が金子みすずを知ったのは、山口県大三島町の漁業組合女性部長の口からだった。人は大漁と浮かれているが、海の底では魚の葬いだという意味の詩を朗読してくれた。海をきれいにという環境会議の席だった。感謝もなく食べつくしてしまったという反省。会場がシーンとしてしまったのが印象深かった。みすずは、山口県長門市の生まれ。中原中也の故郷と近い。
「空の鯉」も、空と池の底と、視点が大きく動く。そこに人生の真実がよこたう。5月もおわり、空の鯉は、たたまれてタンスの中ですでに眠っている。

尚、このCDは、9月発売で、今日聞いたのはテスト盤だった。