[食]寺山修司のテーブル

newmoonakiko2007-09-25

仕事を終えて外へ出れば、十五夜だった。月の明るさよりも、深々とした空の闇に魅入る。箱根湯本の喜仙壮ロビーでのテノール歌手の中村靖さんのミニコンサートを聞く。中村さんは、この旅館の主でもある。中田喜直作曲寺山修司作詞の組曲「木の匙」は夫婦や家族の根源的な、かつ土俗的な悲哀を詠っている。中田喜直がさすがと思うのは、正統な音程をはずすことで、現代の危機を表現したところにある。テーブルは、大地とつながっている。このテーブルで子どもをつくる。しかし・・・。「書を捨てよ、町へ出よう」は、私にとっても衝撃的な書物だった。この天才アジテーターが、今生きていれば71歳。アンチテーゼが成り立たない時代がくることを予期していたのだろうか。