自然はその土地に暮らす人のために

newmoonakiko2007-11-18

岩手県葛巻町元町長の遠藤治夫さんの心洗われる話を聞く。葛巻町は人口8000人。今では、新エネルギーの町の先進地として有名だが、日本のチベットとも呼ばれる「自然より他にないもない」過疎の町だという。この町の大きなターニングポイントは、ふってわいた産業廃棄物処理場計画だった。その計画が発覚した翌日、遠藤さんら3人が、反対運動をはじめる。軽トラックにスピーカーをつけて、町民に天下の大事を知らせたという。数ヵ月後の町長選挙に郵便局長だった遠藤さんが反産廃を掲げて立候補。見事当選する。敗れた町長は、収賄の容疑で逮捕される。町はじまって以来の事件となった。産廃問題はなくなったが、その後、この町をどうするか、これが遠藤町長に突きつけられたわけだ。産廃とはまったく違う道ー「天のめぐみ」である太陽や風力、「地のめぐみ」である畜産の糞尿や森林、水力、そして豊かな風土、文化を守り育てた「人のめぐみ」を大切にする「くずまき新エネルギー宣言」を行う。エネルギー自給率、食料自給率ともに100%を目指す、その基盤を作ったわけである。
これを遠藤さんが、こう言い換えた。「小田原のように自然も産業も恵まれてはいない。しかし、うらやましいとは思わない。私たちは、私たちの地域の中にあるものを大事にして生きていくしかないし、それを誇りに思う。過疎の町といわれても、そこで生まれ育ったものにとってはかけがえのない故郷である」と。また、「北欧では、風は地域のものであり、他者が奪ってはいけないものだといわれている」と紹介した。自然のめぐみは、まず、そこに住む人たちが分かち合うものなのだろう。人を養い育てるだけの自然をないがしろにしてきたツケを解消し、できる限りの自給を目指さなくては。そのための地域自立。偶然にも、今日は農業まつりだった。私は、ここで地元の農産物で加工品をつくり、販売する女性たちが好きだ。野菜の自給率は耕作面積からいえば、小田原は100%という。市民と農業者がダイレクトに繋がることができる、きっとまれな地域なのだろう。この大地、ここに吹く風、みんな小田原に住む人、平等に分け与えられたものだ。大切に活かさなくては。

写真は、小田フィルの定期演奏会。久しぶりに市民会館大ホールに入った。耐震対策をとって、このホールはこのままでいい。