自然から学ぶ 生き方暮らし方

newmoonakiko2007-12-20

12月1日農文協から出版された、できたてホヤホヤの本だ。私は原稿の時に読ませていただいていた。原稿が本になると、こうなるのか、再び一気に読ませてもらった。著者の天野紀宜(あまのきよし)さんは、1940年生まれ。22歳の時に岡田茂吉の説く自然農法に出会い、以来自然を規範とした生き方暮らし方を広め、現在は、財団法人自然農法国際開発研究センター理事長である。若かりし頃は、のちに「大地を守る会」を立ち上げる藤本敏夫氏と共に自然農法による農業の普及に全国を飛びまわったという。天野さんは、藤本さんを評して男でも惚れ惚れするほどの人物だったという。そういった話を含めて、さまざまな体験談を伺ってきた。肩書きではなく、年齢ではなく、素直に先生と呼べる、へそ曲がりの私にとっては貴重な存在だ。
この本の中で、「お金中心、物中心、人間の勝手な都合を中心にした生き方から脱却して、目に見えない自然の意志を尊重し、愛や思いやりといった心の世界を大切にする生き方へと転換すること。農産物の生産と流通の現場においていえば、経済価値のみを追求する現在のあり方ではなく、農業を適正に守るあり方へ転換することが、農業の本来の役割である景観の維持、国土の保全、文化の創出、生活者の生命を支えることにつながるという視点をもつこと。この考えを、農業者を含めたすべての生活者が理解していくことが、今最も望まれていることだ」と述べている。自然を観察し、自然から学んできた人のゆるぎない想いが伝わってくる。それは、ロマンでもあり、またラジカルな生き方そのものである。なんだか、とても土が恋しい。