[食]土からの平和

newmoonakiko2008-08-31

NGO「ペシャワール会」のスタッフとしてアフガンで農業支援を行っていた伊藤和也さんが、拉致、殺害された。公表された伊藤さんのペシャワール会志望書には、「アフガニスタンの子どもたちが将来、食料のことで困ることのない環境になるように手伝いたい」とある。普通の青年が、普通の子どもたちを助けたいと思ったのだ。ただ、行った国が普通ではなかった。客観的にいえば、それはとても危険なことではあったし、事実、生命を奪われてしまった。

たまたま、この秋にアフガンに行くというJCV(国際ボランティアセンター)の女性から、「アフガニスタンの何が知りたいか」というメールが届いていた。「日本の武士道にも通じる精神性をアフガンの男性に感じる」ともあった。私は、アフガンについて新聞報道以外には知らないので、そこに生きる人たちの暮らしをありのまま伝えて欲しいと返信した。

その後すぐの伊藤さんの死だった。ショックを受けているであろう彼女から、「あんなに温厚で心優しいアフガニスタンの人々をこういった凶行にかりたてるものが何なのかと、くやしく悲しく感じる」。「いつか自分たちがあなた方の助けを借りなくてすむようになったら、今度はあなた方が困ったとき私たちが助けてあげます。こんな時だからなのか、ナンガルハル州シェワ郡の女子高校生のことばが浮ぶ」。「アフガンの人たちは、私たちの仲間だから共に平和を築いていきたい」とメールがきた。国と国が繋がることが困難でも、人と人は繋がることができる。

あとでわかったことだが、アフガニスタンのおおくの農地は、すぐにお金になるケシの栽培に使われているらしい。そのお金は農民のものになるのだろうか?そのお金で食べ物が買えるのだろうか?戦火にさらされた荒野を耕し、まずは自給の農業をおこす。それが、平和への第一歩であること。伊藤さんの夢は現地の人たちの手で必ずかなえられると思う。世界の軍隊が、武器ではなく、鍬を持つようになればいい。

今年も国際有機農業映画祭が11月に行われる。テーマは、「土からの平和」。伊藤さんの冥福を祈りたい。
  http://blog.yuki-eiga.com/

宅配で届いた「あしがら農の会」の野菜たち。オダヒャクの野菜も完売だったよ。