ピノキオコンサート

大分県別在住のビアニストの伊藤京子さんにお会いして、直接お話しする機会にめぐまれた。
伊藤さんは、世界的ピアニストのアルゲリッチの愛弟子であり、親友である。そのアルゲリッチさんが、今から14年前、親友が住む別府で「音楽という平和な手段で、共有できる喜びを体験することから、共に生きる社会をつくりたい」と思い立ち、1998年第1回「別府アルゲリッチ音楽祭」が誕生した。

この演奏会の目的は、「育む」「アジア」「創造と発信」。ことに「育む」のテーマは、すばらしい。
21世紀を生きる子供たちが心豊かに暮らせる社会をつくることは、大人たちみんなの願いであり、義務でもあります。子供たちが素晴らしい音楽にふれることのできる場を、また音楽を志す若者たちが学ぶことができる場を提供して、音楽を通じて人を育んでいくこと、とある。

ピノキオコンサートは、ピノキオの物語にあるように、子供たちの「良心」を育むコンサート。人づくりのインフラと位置づけている。
http://www.argerich-mf.jp/about/pinocchio-f.html

小田原では、白紙に戻ったホール建設がいよいよテーブルにあがることになっている。確かに人の回遊性も大事だろう、近辺の商業を活性化も大事だ。しかし、ホール建設の必要性は地域の文化創造の拠点づくりがその目的の第一だということを忘れてはならないと思う。誰もが平等に文化芸術を楽しみ、発信できる場づくりは、単なる箱物建設とは違う。場づくりと人づくりが、同時に行われるようにと願わずにはいられない。

アルゲリッチさんの志は、普遍なものだと思う。小田原に住む文化芸術を愛する大人たちが智恵を出し合えば、きっと素晴らしいホールができると信じる。