Andrea Bocelli 

アンドレア・ボチェッリ。6歳からピアノを始め、12歳の時にサッカーでの事故で失明する。弁護士となるが歌手になる夢を捨てきれずにいた彼をルチアーノ・パバロッティとロック界の大御所ズッケロが見出して、1994年に歌手デビュー。いまや「神の声」とも呼ばれるイタリアの天才テノール歌手である。

彼の故郷イタリアトスカーナ地方で行われたライブをDVDで楽しむ機会があった。歌声も素晴らしいが、ボチェッリの「もうコンクリートの中で歌いたくない」という主張を聞いて、世界のアーティストが、どこに向かっているかを知る思いがした。アメリカでは自由の女神の前が野外ステージだったという。作られた音、作為された空間を拒否し、自然に調和しその一部となる音楽に回帰しようとする。もちろん、野外ステージにかかる費用はもしかしたら莫大だろう。しかし、一瞬に消えるものにお金をかけるのをよしとするのが、21世紀の価値観なのかもしれない。

日本でも「大きな劇場で歌わずに地方の小さな公民館で歌う」ことを宣言した歌手がいるが、これなども音楽の世界の価値観の転換にちがいない。小田原では、市民ホールの建設は幸か不幸か多少遅れることになった。その間にさまざまな空間でさまざまな芸術を楽しむ企てが実践されるといいなぁと思う。

http://www.universal-music.co.jp/classics/artist/bocelli/ucbs1007live/index.html

但し、日本公演は国際フォーラムのホールだったらしい。小田原ならば、一夜城跡で唄って欲しいものだ。