たまご

newmoonakiko2009-03-19

「卵と壁」とは、エルサレム賞授賞式での記念講演で村上春樹さんが使った比喩だ。壁はシステム、卵は生命まるごとといった意味で、自分は頑強な壁にならず、いつもどこでも壁があれば、卵側につく、といった意味かな。昔なら、民衆の立場にたつというのだが、卵のたとえからいうと、生命の論理にたつというように聞こえる。ここには、イスラエルとかパレスチナとか、どちらの国家に加担するかという視点はない。

壁に撃ちつけられて、「卵」が割れていく生々しさ。カオスとエロスが入り混じった生命エネルギー。自分は「卵」といえる男性作家がいたんだと驚いた。これからは、女性性の時代といわれて久しいが、男性の中の女性性が目覚めてくるのかもしれない。

たまごは、春の季語。寒たまごは、冬の季語。夏たまご、秋たまごという季語はない。

寒玉子狂ひもせずに朝が来て 岡本眸

春、寒さに耐えた鶏はエネルギッシュでたまごの最盛期となる。スーパーには、1年中たまごがあるのでわからないが、鶏にも当然ながら産卵の周期がある。密閉したゲージ飼いなら人為的に産卵をコントロールできるだろうが、自然養鶏では難しいという。経営者にとっては頭がいたい問題だろうが、雌鳥さんたち、どんどん産んで「たまご」の壁をつくてしまえば。

壁崩すたまごなるらん春嵐

春たまごまあよしとして母は立つ

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