針仕事

newmoonakiko2009-03-30

古布ブームも一段落したらしい。価値のある着物地は、もう市場に出ていないと聞く。しかし、まだまだタンスの肥やしになっているのではないかと思うが、なにせ着物一山何千円の世界だ。着物地が好きな友人は、古着市で気に入った着物を買い、それをほどいて洋服にしている。この着物を解くのが、古い着物だと大変な作業になる。

でもね、糸を解かないで、切っちゃえば簡単なのだ。着物にハサミを入れるのを躊躇しなければだけれども。洋服よりも高価ということもあるが、着物は第2の皮膚のようなところがあって、なかなかハサミを入れるのは勇気がいるのだ。

古布でできた洋服は、味わいのあるものだが、欠点は布が弱っているということだ。だんだん、こすれたところからボロボロになっていく。もう限界に達して、繕いを始めた。久しぶりの針仕事だ。シャカシャカと切った父の紬をつぎあてにした。柄が小さな紬は、今では貴重品だ。もう100年に近い生地だが、ほっこりしていて縫っていても気持ちがいい。他のつぎあての生地は、そんなに昔の布ではないので、ここだけ浮いて見える。

ミシンと相性が悪い私は、手縫いだ。晩年の母も、背を丸くして針仕事を楽しんでいた。やってくれる人がいたら、お願いしたいところだが、自分でやるしかない。針仕事を楽しみにまではしていないが、はやく仕上げて着て歩くのは楽しみだ。見たところは、継ぎはぎスカートだけど、思い出は詰まっている。