山下惣一さんの畑
農民にしてはメタボだね。・・・ほっとけ・・・
空気がきれい。・・・なんだ、すかしあがって・・・
そんな、身も蓋もない会話をしながら、山下さんの畑を案内していただいた。玄界灘が手に届きそうな山をぐるりとめぐる。あれが、おれの田んぼ。これが、おれのブドウ畑。それが、妻と新婚旅行と称して開墾したおれのみかん畑。牛を引きながら、蛍を道案内に家に帰ったんだよ。ああ、蛍ね・・なんだか、胸がいっぱいになる。生きていくことは、大変なことだ。
この骨太な農民作家は、動かさざる土と流れていく海のふたつの文化をはらんで生まれたのかもしれない。後ろにある閉じられた空間と前にひろがる開かれた空間。そこに共生よりも背理や、矛盾を見出していく山下さんがいるのだと思う。
それにつけても、慎ましやかな奥様。でしゃばりな女が大嫌いだそうだ。あっ、そう。
でも、女に支持されない農民なんてナンセンス!と捨て台詞を置き土産にした私。
山下さん、怒ってるだろうなぁ。