[食]お弁当の日

newmoonakiko2009-05-05

香川県綾南町立滝宮小学校の竹下和男校長が始めた「弁当の日」。家庭科の授業で調理を学習した5,6年生が、月に1回自分で作った弁当を学校で食べる日なのだ。その実践記録「弁当の日がやってきた」を読むと、この日の目的は、家族団欒の楽しい食事というDNAの継承だとある。そのためには、まず自分で自分のお弁当を作ることから始めたらいいのだと。そして、それは、そう難しいことではない。

家庭団欒の楽しさ。そのようなことは、代々家庭の中で引き継がれてきたはずだが、今では、セピア色のワンシーンなのか?現在では、「家庭」を変えることは禁句なのである。母親にお弁当を作れと言わずに、子供がお弁当を作ろうということが実践的で現実的なのだ。そう、お父さんにお弁当を作ってあげて感激されたり、風邪を引いたお母さんに代わって弟や妹の食事を作って感謝される子供たちが現れる。それこそ、世代を超えて繋がっていく「いのち」(愛する心)なのだと竹下校長は説く。

私の友人は、竹下先生の講演を聞いて、「夫もいないし、子供もいないけれども、自分のためにお弁当を作りたい」と思い、弁当箱を買ったそうだ。もちろん、毎日せっせとお弁当を作り、「還暦近くなって弁当を作ることになるとは思わなかったわ」と自分でびっくりしている。彼女にとっては、調理するというDNAが目覚めたのかもしれない。自分を大切にする根源は、かって経験した家族の団欒という暖かな記憶なのだ。手作りの弁当には確かにそれがある。

この「弁当の日」を行政として取り入れたのが、宇都宮市だ。ただ、宇都宮市の「弁当の日」は、苦しそうだ。早寝早起き朝ごはんという標語(小田原市)では、現状を変えることはできないが、だからといって、上からの指示というのには、疑問だ。学校現場、学校給食に関わる関係者、PTAから、声が上る「食育」のスタイルが理想だ。

昨日、思いかけずに頂戴した手作りのお弁当。私もお弁当を作りたくなった。