有機農業事業予算の復活

事業仕分けによる有機農業モデルタウン事業の廃止に対して有機農業団体、消費者団体、モデルタウン地域などからの強い復活要請が行われていたことは知っていたが、いつも間にか本当に復活していたのは知らなかった。予算額は21年度1億7000万円から2億2000万円に増額、実施箇所は約60箇所に拡大ということらしい。モデルタウン事業は廃止し、1月には全国各地で、事業説明会があるようだ。小田原市の協議会が参加するかどうかは不明だが、とりあえず農政課には話を聞いてきてもらいたい。

全国有機農業推進協議会の中島紀一代表は、有機農業支援策の復活については歓迎しつつも、下記のような疑問を投げかけている。

これまでの有機農業総合支援対策は、有機農業推進法の施行、有機農業推進基本方針の制定を受けて、それを実現するために組み立てられたもので、その他の農林施策との整合性等はほとんど問われておりませんでした。有機JAS制度との独自性も明確にされていました。こうした政策実施のあり方は、推進法が従来の国の政策の修正を求める議員立法であり、また法律の厳正な実施を求める私たちの運動によるものだったと考えられます。
しかし、今回の代替事業は、有機農業の独自の意義を明確にしながらの策という形ではなく、廃止となったモデルタウンの取り組みを実質的に継続・復活させることを最優先して緊急に組み立てられたという経緯がありました。そのため、事業は、有機農業の独立した事業ではなく、一般農政で組み立てられてきた事業枠に、追加で組み入れるという形となっています。
そこで組み込まれることになった「産地収益力向上」「販売企画力強化」「生産技術力強化」「人材育成力強化」等々の事業コンセプトは、有機農業展開方向とは馴染みにくいものです。モデルタウン事業のベースにあった「地域」の視点は見えにくくなり、「地域に広がる有機農業」の課題も後景に退いてしまいました。また、有機JASとの連結性強化も知らぬ間にうたわれるようになっています。これは緊急を要した今回の経過から見れば致し方ないことではありますが、かなり深刻な問題点でもあることは確かです。
私たちとしては国の事業を担い手として引き受け、それを成功裏に推進しつつも、併せて有機農業政策の本来の見地を明確にし、それを深めていく取り組みも意識して進めなければならないと思います。同化と異化の両方の契機を十分に意識していくということです。しっかりとした政策論議の展開が必要となっているように思います。

有機JASとの連結性強化は別として、私は有機農業独自の「産地収益力向上」「販売企画力強化」「生産技術力強化」「人材育成力強化」等々は行われなくてはいけないし、そのためには地域性は無視できない、と思っているが、どうだろうか?モデルタウン事業よりももっと有機農業を一般化できる事業へ税金を投入すると考えると見方が変わるのではないか?となると、2億2000万円じゃあね。