パンから米飯に

文部科学省は、学校給食の米飯回数を増やすように各自治体に呼びかけている。神奈川新聞によると、小田原市内の給食米飯請負業者は、受注数が増えると従業員を増やし、米飯を温かいまま運ぶための1個8000円の容器を買い足さなくてはならないので、「赤字にはならないが潤うわけではない」と言っている。一方、パン業者(こちらは横須賀市内)も経営が難しくなると言う。経済を考えると、どちらも大差ないというわけだ。

新潟県三条市では、高橋一夫元市長が、完全米飯給食に切り替えた。直接、会ったことがあるが、表面は穏やかだが中身はなかなか頑固な方のように見えた。一番印象に残るのが、「次の選挙を考えたら、自分の思ったことができない」という一言だった。めん協同組合の人たちが、「ご飯では飽きると子ども達が言っている」と訴えると、こう切り替えしたとある。「学校給食は食育。子ども達が国語や算数が飽きたといってやめますか」と。

小田原市の片浦小学校は、少人数を生かして、炊飯器が設置された。温かいまま運ぶ容器もいらない。自分たちの手でご飯を炊けばいいのだから。これは、米飯という例だが、どんな政策を実現するにも、利害関係はつきまとう。あちらもたてて、こちらもたてていては、変革などできない。政治家は自分の身のことなど後にして、やるべきことはやるしかないのじゃないか。

毎朝、駅であいさつしている市議会議員さんがいると聞く。ご苦労さまだと思うが、そんなことを市民は望んでいないと思いたい。