友達のキャベツ

生ごみを入れた土から育てたキャベツ。今年、最後のキャベツだ。
「みんなで食べていいよ」
「どうして?あなたが食べなきゃ」
「今は、食べれない」

最近、私の友人たちが、バタンバタンと倒れていく。キャベツの苗を植えた彼女は、がん細胞が頭部へ転移し、現在、放射線治療を行なっている。乳がんを克服し、土いじりが解禁された直後のことだった。ふたりにひとりが、がん患者という話だが、いったい「がん」とはなんだろう?

彼女の畑を管理しているもうひとりの友人が、「あなた、持っていきな」と言って、ひとつまるごとのキャベツをくれた。ずっしりと重いキャベツだ。