[食]タネの会

今年の国際有機農業映画祭は、11月27日に開催する。テーマは、「たね・水・いのち」だ。第4回目となると、ただ有機農業に関連する映画だけを上映するのはおもしろくない。映画祭を機に自分たちも勉強しようということで、自然農法の種の研究を行っている団体、自家採種をしている有機農家などを招いて話を聞く機会を持った。意外にも、「種」をテーマにした実践者たちの情報交換の場がないということだった。

自然農法の米の育種に取り組んでいるMOA大仁農場の木下さんは、コシヒカリが作りづらくなっていて米の品種改良が求められていると報告してくれたが、そんなこと消費者は知らない。稲作農家が栽培技術だけ求めて「イネを見る力」がなくなり、自分の田んぼに合う品種を見分けられなくなっているとも。映画祭の実行委員長の農政ジャーナリストの大野和興さんが、育種を含めた農民技術を国や資本家が奪った結果だと応じた。

また、農薬の専門家である田坂興亜さんが、在来品種のもち米をほぼ100パーセント栽培するラオスでは害虫の被害が少ない。その理由は、在来種のイネには害虫を殺す物質を出しているからだと説明。適地適作、在来種の持つ免疫力の高さを想像することができた。土と栽培方法だけに注目して種のことには無頓着になってしまったのは農家だけではなく、食べる側も「種」を食べていながら、すっかり意識から抜けてしまっている。

これを機会に種をめぐる勉強会を開くという。実はこの会は、仕事で自然農法国際研究開発センター(通称=自農センター)へ行った電車の中で決まった。ことにこの会の種まきをしてくれた種子ネットの入沢牧子さんには感謝したい。・・・・原稿の締め切りが過ぎている。