[暮らし]自治基本条例

小田原市自治基本条例の素案ができて、パブリックコメントを募集している。小田原市自治基本条例づくりの特徴は、オープンスクエアと名づけた公開検討会と委員会を交互に開催する併走方式により、検討を進めてきた点にあり、検討委員は、オープンスクエアに参加して、多くの市民の生の意見を聞くとともに、交互に開催する検討委員会に持ち帰り、市民意見を集約・反芻し、市民原案としての骨子案に練った先進的な手法であり、本検討委員会の委員長(相模女子大学教授 松下啓一氏)により「小田原方式」と名づけられているそうだ。市民延べ1200人が参加して議論したものだという。この熱い思いには、ただただ敬意を表したい。

また、他市の条例を参考にしなかったというが、ネット時代どこの市の条例でも閲覧できる時代にあえて見ないことの有為性はないと思うが、いかがなものか。そして、できたものを読むと、うっと思うことばかりだ。まず、理念。21世紀にふさわしい自治を模索しなくてはならないが、それが自治会の再構築に集約されるように読める。それは小田原市民が自治と聞くとき、自治会しか思い浮かばなかったという証でもある。

たとえば、自治会に入らない市民が、市報の配布や回覧板の閲覧をされていないという不利益をこうむっているという事実をどうとらえるか。自治会加入は法的な根拠もないのであるから、まず、市民ひとりひとりの権利を公平に守ることに自治の基本がおかれなくてはならない。そのあとに地域のコミュニティへの参加、新しい公共への創造という項目があがってくるのではないか。

持続可能な地域を再創造すること、この地域で共に生きていくために互いに助け合うこと、男女共同参画という現代的な課題が含まれなくてはならない。新しい公共のために行政も市民も協働するわけである。できれば、同じ空間、同じ時間を共に生きる、しかも幸福に生きることができない、さらに将来にわたりまだ生まれていないいのちの権利を侵す可能性のあるときには、住民投票を行い、民主的に決定していく。小田原の微生物まで守ろうという理念もいいなぁ。生物多様性がこんなに問題になる社会なのだから。少し、ぶっとびましたか?だって、これならあらためて条例つくる必要がどこにあるのかしらん?

100歩譲って、自治会を解体することなく新しい開かれた議論の場と決定権のある組織を作り上げていくことができれば、この条例を内実をもって改革の一歩とできるか、・・・・わからない。それにね、行政って市民のためにあるんじゃないの。正確には、共にではなくて、市民のために働く行政をつくるために市民がしなくてはならないルールづくりではないかしらん?