持続可能な企業


この写真の男性は、シャボン玉石けん株式会社の3代目社長・森田隼人。今年創業100年を記念して出版された「無添加を科学する」の装丁はなかなかのものだ。この表紙は、大新聞の広告にもなって、なんと表裏の両面を使って掲載されたので、記憶にある方も多いのでないかと思う。裏の表示も見てよ、というわけだ。

この非売品の冊子のはじめの1行。「私は不思議でなりません」から始まるのだが、おばさんもこと洗剤に関しては、まったく同じことが言いたい。こんなに危険だとわかって、しかも裏にしっかりと危険と書いてある(ただし、知っている人にしかわからない)合成洗剤をどうしてやめられないのか?私は不思議でなりません。

イケメン3代目の父、森田徳光さんが国鉄からの「合成洗剤で洗浄すると錆がでるので石けんを作って欲しい」という要請で石けん製造をしてみると、今まで悩まされていた自分の湿疹が消えるという体験から合成洗剤製造を止める決断をしたというのは有名な話だ。石けんに切り変えた翌月の売り上げは、今までの100分の1となり、赤字経営はなんと17年間続いたという。

それも、「安心・安全なものを求めるお客さまのために」という信念があってこそだが、その裏には、「危険なものを販売してはいけない」という正義感があったことは当たり前の話だ。父の怒りというものを息子が包み隠さず言い放っているのが、なにかとても新鮮に感じる。

ところで、化学薬品なしに液体石けんを作るのは難しいとしていた先代森田社長が液体石けんを製造したのは、EMに出合ったからだととも聞いている。合成洗剤をやめて、石けんとEMを使えば川や海の生態系は豊かになると確信したとも。
EMシャボン玉石けんは、浴用食器用ともに1個170円だ。東急ハンズでも売っている。

今、隼人社長は阪神神戸地震合成洗剤での消防による2次被害を教訓に石けん系泡消火剤を開発した。これは17分の1の水量で消火できるという画期的なもので、北九州市の消防課長が「石けん系泡消化剤」に注目したことから始まったという。小田原市でも、ぜひ取り入れて欲しい。

先代森田社長とは宮島でゆっくりお話しながら歩いたことがある。息子さんの話になると目じりが下がり優しい父親の顔になった。先日、私の友人がシャボン玉の株を買うと言っていた。彼女、シャボン玉石けんを使ってるのかな?株は買えないけど、石けんは買い続けます、私は。