TPPと日本の医療

以下、農業だけではなく、医療分野の完全な市場開放を求めているTPPへの 参加に向けて12月1日に出された日本医師会の見解
医療分野について、これまでの規制改革論者の意見を踏まえると、TPP への参加によって、日本の医療に市場原理主義が持ち込まれ、最終的には国民皆保険の崩壊につながりかねない。日本医師会は政府に対し、TPP の検討にあたり、国民皆保険を一律の「自由化」にさらさないよう強く求める。

現在だって、日本での混合診療は歴然と行われている。たとえば、がんの治療についても、健康保険内の治療か保険外の治療かは、患者の経済的状況によって選択されている。若い友人は、「お母さんの治療費に1000万円かかる,あんたに出せるか」と医者に言われた。もちろん、健康保険外の治療費の値段なのだが、親一人子一人の彼女には「直らない」といわれるよりももっと残酷な言葉だった。

医療の自由化が進すめば、公的医療保険の給付範囲が縮小する。市場原理主義を導入することで国の厳しい財政は緩む。混合診療を全面解禁すれば、診療報酬によらない自由価格の医療市場が拡大する。これは外資を含む民間資本にとっては魅力的な市場が開放されることになる。しかし自由価格の市場では、所得によって受けられる医療に格差が生じ、同時に公的医療保険の安全性が低下するのは火を見るのも明らか。「貧乏人は病気になるな」は飲んでもいいが、「医者にかかると病気になる」が、冗談ではなくなる日が来るのでは。なにせ、病人は市場なんだから。当然「国のかたち」はなくなる。

乳がんを手術した後、2年後がんが脳に転移した友達が植えた大根と水仙

彼女の好きなたけのこいも。月10万円の医療費。夫にすまないと泣いた。
友達の農園を守るKさん。ひとやま越えて収穫物を運ぶが彼女は不在だった。