[食]生(いき)ごみサロン

エッセイストの桐島洋子が、燃えるゴミの中に生ごみを一緒に入れる感性がわからないと書いていて、唸ったことがある。食べ物の後始末の仕方まで心得る感覚は、私たち世代にも多少は残されているが次の世代にはどうだろか。生ごみを家庭で堆肥にし、大地に返すことをやってみたいと思ってる人は多いが、いざやってみると結構難しいらしい。

しかし、ダンボール、ミミズ、EMぼかしなどいくつかの方法が出揃ってきた。台所でコンポストをつくる!そのことに並々ならぬ情熱を持って取り組んできた主婦の力だと思う。本当は、農家の知恵が生かされる分野と思うのだが、すでに堆肥をつくる農家が少なくなってしまったのだから、地域の家庭生ごみを畑に入れることなど考えられないのかもしれない。が、化学肥料は高騰し、有機堆肥や肥料も限界がある。すでにバーク堆肥はロシア産だ。食料危機になった国では、堆肥になる汚泥を輸入しなくてはならない。なによりも土を豊かにしておくことが次世代のいのちのために不可欠なのに。

有機農家の橋本力男さんを訪ねたとき、有機堆肥のカリスマにも家庭生ごみの堆肥化には苦労されていてこれという決定打がないようだった。そのときは、プラスチックの衣装ケースを使って堆肥化をしていたが水分調整に苦労されているように見えた。「有機 無農薬 野菜が甘く育つ土づくり」(学研)という本の中では、進化した衣装ケースになっていた。堆肥づくりの専門家でも試行錯誤なんだなと感心してしまった。ともかく、橋本さんには、土の中の多様な微生物を増やすには生ごみ堆肥はとても有効だということを教えていただいた。

ひとりひとりが生ごみを土に返し、それができない人には生ごみを分別して出してもらう。新鮮なうちに集めた生ごみと地域ででる有機物で堆肥をつくる「土づくりセンター」をつくる。最良な生ごみ堆肥が欲しい地域にお分けする。もちろん,有料で。
たとえば、山梨県笛吹市では地域全体を有機にする取り組みが始まり、生ごみ堆肥の需要が大きい。生ごみ有機の桃やぶどうになって、小田原に帰ってくる。地域内でこの循環ができれば最高だが、これには地域の総合力が発揮されなくては始まらない。まだまだ道は遠い。

そうそう、今日は小田原市で月1回?開催されている生ごみ堆肥化の意見交換会。いつもは段ボールコンポストの話が中心だったらしいが、今回は、さまざまな生ごみ堆肥化の実践報告会で、葉山町からは生ごみを入れるとバクテリアの力で消滅する「キエーロ」、「ミミズで生ごみ堆肥化」、私はEMぼかしでの生ごみ堆肥化の話をしたのだったけ。体験したことしか話せないけど、お役にたてたらうれしい。
生ごみ堆肥でできた長ネギ 大拍手を浴びた