女子大で農

多摩市にある恵泉女子学園。この4年制大学に入学すると、すべての学生が1年間農作業を経験する。つまり、必修科目なのだ。学ぶのは、農業ではなく、自然と食だ。農園は、0.7ha。土づくりから始まり、トマト、キュウリの種まき、サツマイモの植え付け、夏の収穫、夏休みをはさんで、サツマイモの収穫だ。つけ爪の女の子は土には無縁。黒い虫はみんなゴキブリに見える。

けれども、自分で育てたトマトやキュウリをまるかじりする頃には、この授業が
楽しくなる。ダイコンの種がどこにあるのか、サツマイモがどこに育つのか知らなかったお嬢様たちが、家族と野菜の話で盛り上げる農ギャルになる。

国際社会学科のIさんは、世界の食糧問題を学んだときに実体験と学問が結ばれた。卒業後は、一足先に有機農業をしている彼と結婚して自分も農家になる。この授業を担当する澤登早苗先生は、「食農教育と体験学習は別。農業は一生を通した人間教育。多くの学校で取り組み、人間の教養になって欲しい」と話している。

山梨県有機ぶどう栽培をする農家の生まれの澤登さんは、有機農業推進協議会の理事。小田原にも足を運んで、子供たちの教育農園づくりに協力していただいている。