[食]こんな社会に誰がした

人口の3割が65歳以上の高齢者になる社会は、日本が歴史上初めてだそうだ。腰が抜けたトラやサルが3割もいる群れを見たことがあるかといわれると妙に納得する。世界は、超高齢化する日本をお手本にするべく、注目しているというのだ。
私もすぐに仲間入りする。どうしよう?

福井県で講演した有機農業の専門家である保田茂神戸大学名誉教授は、昭和55年の食生活に戻し、今10歳の子どもたちにしっかりと農業の大切さを教え、20年後には家庭をもち3人の子どもを産む、そのような教育をしてもらいたいと学校を回っているのだという。さて、団塊の世代を含めて、現在の高齢者が子どもたちにそのような教育をしてこなかったツケが今の世相である。朝パンを食べ、昼にラーメンを食べ、夜だけご飯の生活が、アメリカの畑を活性化させて日本の田んぼに草を這わせる。全国での減反は43パーセントというが、この数字はまさに日本人の食生活の反映にすぎない。そんな生活を送ってきた人たちの老後をご飯を食べたくても作り手がなくて食べられない日本の若者が支えることになる。

戦後のアメリカの食糧計画は見事に成功したといえるだろう。その締めくくりが、米の完全自由化だ。どんなに苦しくても、米を作り続けること。自分のいのちを守る米を作り、子どもには間に合わないが、孫に日本の食生活を伝えること。保田先生が、福井のジジババを叱咤激励し、返す刀で都会のジジババにその米を食べ続けることを約束させていた。TPP論議よりも、高齢者がしっかりと覚醒し、自分の健康は自分で管理し、役割を果たしてこの世とさよならをすることのほうが重大かもしれない。大きな志を達成するには、自分の足元からコツコツと。ご飯を食べよう!