[食]土壌の中のこと

今日は、ごきげんな研修会に出てきた。神奈川県環境農政局主催の平成23年度環境保全型農業と技術研修会。事例発表者は、横須賀市の長井有機農法研究会の鈴木浩之さんと小田原市の小田原有機農法研究会の石綿敏久さんだ。鈴木さんは、EMを通しての長いおつきあい、石綿さんは地元で小田原有機の里協議会を発足するときからのおつきあいだ。

講演は、茨城大学農学部教授の中島紀一先生。そのお話の中で、有機農業推進法ができたあと土壌微生物プロジェクトがたち上がり、土壌の生物的状況が遺伝子解読によって視覚化できるようになったという。1gの土に10億ともいわれる微生物がいるというが、eDNA(土壌から培養せずに得るDNA)遺伝子解読技術が目覚しく発展して、土の中の微生物群がわかってきたというのだ。

病虫害が甚大に広がっている土壌は、土壌微生物の構成が単純で多様性がないが、病気の少ない土壌は土壌微生物群がゆたかで多様だという。しかも、この豊かな微生物群は今までの作物栄養学でいう富栄養系ではなく、貧栄養系で成立するというのだ。栄養過多は土壌と作物の共生関係を破壊してしまう。つまり土壌の生態系でミネラルの循環系がつくられる。自然界の理論と農業の理論をどう調和させていくか、おだやかで安定した貧=低栄養土壌をさぐる道が、これからの農業科学の本道になればよいと。

鈴木さんは地域のコーヒー粕やスーパーの野菜クズを堆肥にして野菜を栽培、石綿さんは無肥料栽培で果実をつくっている。ことに石綿さんは、自分のやっている農業が学問的に証明されてきたことをとても喜んでいたが、私もなんだかとてもうれしい。小食が微生物を増やし、世界を救う。人間の栄養学を否定した安保徹教授の理論と同じだ。明日から小食にして体内微生物を増やす!写真は、熱弁を振るう中島先生