[政治]遺言

組織は課題に従うものです。生命はまさに究極のそれです。問題を解決するにはたとえばこういう方法があると示す、それが方針であり、戦略であり、目標であったりします。そしてそのように動こうとするのが政策です。組織は課題に従い、政策は組織に従います。なぜ、いま組織なのかというと、いまや社会が激変していて、しかも専門家は専門家だけ、企業は企業だけといった具合に孤立してしまっているからです。つまり自分の成長発展ばかりをめざしているからです。そこには進化などありえません。組織は社会の問題を解決するために存在しているのです。このことを自分のなかに入れられるかどうかで、社会性のある組織かどうかが決まってしまうのです。組織がそうならない限り、「進化」も「真価」もあり得ません。

びっくりドンキー」などを経営するアレフ社長の庄司昭夫氏が、3月23日68歳で亡くなった。葬儀の折りに2009年春まで9年間にわたり日本農業新聞に掲載されたコラムが遺稿集として、配られた。上はその一節だ。

国民が困っているときに、頼りにならない政治とはなんだろうか?むしろ政治そのものが国民にめいわくな存在になってしまうのはなぜだろうか?機能を失った地方を支えない国家とはなんだろう?組織が社会性を失ったことは、個人もまた社会性を失っている。なんだか悲しい。

庄司氏は、こうも書いている。
昨今のようにものごとが大きく変化していく時期には理念が必要で、何に命を使うか、死んでもこれだけは絶対譲れないと守るべき自らの掟をもっているかどうか、会社の掟、個人個人の掟をもっているかどうか、厳しく問われているのです。

なにかと問題の多い食飲業のなかで、食とつながる環境を守ることを使命とした稀な存在だった庄司氏の遺言だ。日本は災害では負けない。が、日本人が正義感を失えば危うい。
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