お彼岸

ともかく家は大丈夫だった。停電で心配したのは冷蔵庫の中身なのだが、ご安心ください。半日ぐらいで腐るものはなんにも入ってないから。そして、今日はお彼岸のお中日だ。小田原からお墓のある高尾というのは、なかなか遠い。あえて、いろいろな路線を乗り継いで行ってみたが、太田昌克・共同通信核取材班のー「核の今」がわかるーという新書がまるまる読めた。脱原発から核廃絶までの道筋、これはそう簡単にはいかないことはわかる。

保有国以外では日本だけが、原子炉の使用済み核燃料中に含まれるプルトニウムを取り出し、二酸化プルトニウムと二酸化ウランとを混ぜてプルトニウム濃度を数%に高めたものを燃料として再利用している。核リサイクルとはいわず核燃料サイクルというのだそうだが、生ごみリサイクルとは対極にあるリサイクルだ。これをやろうとしているのが、福井県敦賀市にある高速増殖炉原型炉もんじゅだが、こちらは今は事故が続き停止している。しかし、福島第一原発の第3号機は、プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)を燃料としていたといわれているが、今この核燃料はどこにいったかわからないらしい。まったく藪の中だ。

長崎はプルトニウム型、広島はウラン型の原爆だった。戦争終結のためではなく、アメリカの人体実験だったともいわれている。福島は核の平和利用という名の下に犠牲になった。核燃料も核兵器もいらない。20世紀に生きた人間がその責任において墓場に持っていくしかない。繁栄の礎を築いてくれたと線香の1本でも手向けてくれるだろうか?